在りし日の箱庭

好きなゲームやキャラクターのお話なんかをしていきます。

音楽劇『精霊の守り人』を見に行ってきました!

2023年7月30日。天気は超晴れ、気温はおよそ35度の真夏日

私と母は、東京日比谷の日生劇場へと赴いた。

音楽劇『精霊の守り人

A13出口に続く道を歩いている途中、私と同年代と思われる少女3人が前を歩いていた。

原作未履修(というか登場人物の名前が分からなくなり途中で挫折した)の母に原作の魅力や見どころを語りつつ、前方の彼女たちも舞台を見に行くのだろうか、とふと思う。

地上に出て劇場へ向かうと、その少女3人も同じ方向へ進み、そのまま劇場の中へと入っていく。

ああ、彼女たちも守り人好きなんだな、とマスクの下で密かににっこりした。

 

劇場内は涼しい。

夏特有の蒸し暑さに加え太陽がジリジリと照りつけるせいでさらに暑く暑い外とは大違いだ。

入り口の奥に貼られていた日生劇場の歴史を流し見しつつ、指定された座席へと向かう。

全く関係ない話だが劇場内の螺旋階段が美しかった。

 

私と母の座席は、1階席の左端。

どうやら少し早く着いてしまったようで、客席への扉が開いていない。

時間つぶしに客席の1つ下の階の売店を見に行くと、パンフレットが売っていた。

1800円と中学生でも払えない額ではなかったので、少し奮発して購入。

 

1階席のロビーに戻ってくると丁度扉が開いたので、客席の中へ入る。

開演まで時間があったので、トイレに行ったり購入したパンフレットを読んだりして待つ。

パンフレットの中身は主にキャストインタビューとトーク

原作者の上橋菜穂子先生へのインタビューもあって、そこで先生がラルンガについて語った言葉が印象的だった。

ちょうど『精霊の守り人』の主題に沿っていて。

ラルンガも、絶対悪というわけではない。

 

客席が暗くなり、いよいよ舞台が始まる。

〈以後原作ファンによるただの語り〉

・水中の表現がすっごく美しい。今回チャグムに宿ったのが水の精霊だから水中の場面も多いんだけど、その度に鳥肌。

バルサめっちゃ美人。歌声綺麗。最初に歌う時、途中からモブ商人がハモってくるの良い。モブ商人のちょっとふざけた態度にクスッと笑わせていただいた。

・チャグム救出後のもてなしお料理はない。皇族は神の子だから庶民がその目を見ると失明すると信じられているという設定もない。そこら辺掘り下げると面倒だから、短時間で終わらせる必要がある舞台で描写しないのは良い判断だと思う。

ただ、神の子だったチャグムが普通の庶民たちの生活に触れることで成長していく過程にはやっぱり、皇族の神聖性が重要かなって。

・二ノ妃からチャグムを託されたバルサは、トーヤとサヤの何でも屋にはよらないでそのままタンダの小屋にレッツゴー。つまりノギ屋の弁当シーンもカット。

ノギ屋の弁当、原作ではかなりの飯テロシーンなので……! 原作は知らないけど舞台観て好きだったって人は、是非。守り人シリーズに出てくる料理を再現したレシピ本『バルサの食卓』も発売中ですよ!!!!!(宣伝)

・タンダの小屋に向かう途中、夜空を見上げながらバルサが命について語る。これ本当に名言。と、ここで帝の差し向けた狩人が二人を襲撃。

ここの殺陣マジで美しい。原作シリーズ2巻の『闇の守り人』に出てくる槍舞いも、きっとこんな感じなんだろうな。

・タンダ!!!!! 原作ではあんまり戦うシーンなかったと記憶してるんだけど、この映画では土(砂?)の魔法(呪術)を使って戦ってる。かっこいいよ!

・タンダの山菜鍋はカットされてない! やった!

・タンダがすっっごいおちゃらけてる。チャグムに庶民の言葉遣いを教えるシーンとか、チャグムに「バルサと結婚しないの?」って聞かれたときに持ってたお玉と鍋蓋(?)を落とすシーンとか、めっちゃお客さんにウケてたし私も笑った。

私は今までタンダのことを周囲からは変わり者扱いされてるけどおっとりのんびりしてる優男(バルサの嫁)って思っていたんだけど、こういうノリが軽めのタンダも良き。

バルサは飄々としているように見えて、この時点では意外と色々抱え込みやすい人(だと私は解釈している)なんだけど、こういうコメディちっくなタンダのおかげでそういう悩みとか怒りとか薄められたらいいな、なんて勝手に思ってる。

・「死んだ動物の皮を着させてもらってる」好きな台詞。生き物は互いに命を喰らい合い、助け合いながら生きてるんだって。原作では毛皮はたしか出てこなかったけど、兎を屠るシーンで似たようなことを描いてた。めちゃ好き。

・越冬シーンもかなりカットされてる。原作だと冬から夏になるまでの間は、どことなくダラダラと長く寝た後のような気怠さが漂っていたから、多分舞台映えしないのも分かる。しないけど、そういうシーンを仄暗く気怠く描けるのは小説の魅力なんだろうなって。私は越冬シーン大好きです。

・雨乞いの歌好き。村人が逞しい。

・ラルンガ初登場。どうやってあれ表現するのかなと思ったら、ラルンガの足を持って武器みたいに扱ってた。なるほどなるほど。

・トロガイ〜〜〜〜! 登場シーンの曲が好き。欲を言うともう少し顔シワシワで色黒でも良かったのよ? 雛形あきこさん、二ノ妃との兼役お疲れ様です。

・サアナンに向かう途中、バルサが短槍で後ろを守りながら進んでいるの細かくて良き。ちゃんと、守るってこと忘れてなくて。

・シグサルアの花可愛いなあ

・シュガとジンがめっちゃイケメン。いや知ってる。原作小説読んだときからこいつらは絶対にイケメンだと思ってた。思ってたけど想像以上にイケメンだった。他の狩人もイケメン。そういえば原作でのこの時点の狩人の頭ってモンだったんだけど、いつの間にかジンがメイン張るようになってた。一応理由は書かれてるんだけど、舞台で完全に存在抹消されたモンちゃんかわいそ……。

・秘密の蔵の位置、もしや変更されてる……? 原作では聖導師の部屋の奥だった気がする。舞台ではそもそも聖導師という単語が出てこないし、星読博士の説明も多分あんまりされてない。あ、てことはこの舞台において、シュガは何やら光る宝石を空にかざしながら星がどうたらこうたらって呟いてる不思議系お兄さんだったのか……?

・ラルンガとの決戦で狩人が加勢に来るの、やっぱり胸熱。皇太子サグムが犠牲になっているからこそこの共闘が実現するのだと思うと少しもやるけど、それでも胸熱。

・ナージ関連の点と点が繋がる感覚も再現されてる。初めて『精霊の守り人』を読んだときの、真実を見つけたという興奮が蘇ってくる。三すくみもちゃんと採用。もちろん鳥肌。

・チャグム「産んであげたい」

……ちょっと、そういうものを感じてしまったのは親には内緒。別に上橋先生は男の子に出産させようと思って書いたわけではないから……!

・狩人に連れられてチャグムが宮に帰るシーンで、また命についての話が聞ける。

良い話だった……。

 

・舞台、とっても良かった……。原作知らないと分かりづらいだろうな、というシーンもありましたが、役者さんの演技と殺陣、そして音楽がとても美しかったです。

原作ファンの方は是非見に行ってください!

 

余談:舞台の後に代々木公園にある保護猫カフェで猫ちゃんと戯れてきました。かなり人馴れしてて、おもちゃにも沢山興味を示してくれてマッジで可愛かったです。保護猫カフェの人たちもとても親切で親しみやすくて、なんだか親戚の家を訪れたような感覚でした。

多頭飼育崩壊から救出された子が多いのが印象的で、家に帰ってから多頭飼育崩壊について調べてみたところ、かなり凄惨な現実を知ることができました。

なんていうか、身勝手な考えかもしれませんが、人間の気まぐれに他の動物が振り回されているのって、すごく残酷ですね。愛玩するために生殖能力を奪うのも、それを怠ったがために悲惨な結末を迎えさせてしまうことも……。

つい数時間前に観た『精霊の守り人』と少し話がリンクしているような気がして、不思議で。だからこそ、より一層重く感じました。

いつか人間の手によって不幸になる動物が、少しでも減ると良いな、と願うばかりです。

そんな私も、虫に優しくできるかと言われればきっと、yesとは言えないのですが……。

 

ここまでお付き合いくださりありがとうございました。

それではまた。